スペイン(マドリード)留学の体験談やエピソードに興味がある方に向けた記事です。
こんにちは、アメリカ駐在員のユキヒョウ。( @Yukihyounet)です。
私が大学時代、スペインのマドリードに留学していた時に感じていたことを紹介します。
前回は「スペイン留学時代の話 ~バスの中での出来事 現場で学ぶスペイン語~」についてお話ししましたので、よろしければ覗いてみて下さい。
今回ここで紹介する記事は、若き日のユキヒョウ。がスペイン留学時代に感じていた「人種差別について思うこと」。
投稿の日付は2000年1月10日。
今から約18年前のマドリードにおける、「被差別者」としての当時の若者の苦悩に共感いただければ嬉しいです。
人種差別は永遠に
スペインに住む日本人
オレは日本人である。
日本で生まれ,日本で育った。
外見も普通の日本人と何ら変わらないし、大きなくくりで言う思想も慣習も完全に日本人である。
日本にいる時はさして気にもしなかったことだが,外国に出るとそのことを考えさせられる機会が多々ある。
オレは今,EU諸国の一国であるスペインのマドリードで生活している。
オレにとって長期の海外滞在はこれが初めてな訳だが,最近よく人種差別について考えさせられる。
人種差別観はさまざまな側面から生まれる。
『肌の色』はもとより,『出身国』・『宗教』・『思想』・『習慣』・『貧富の差』等々。
ほんの些細なことでも差別につながる場合もある。
なかでもやはり、『肌の色』は決定的な差別要因になりうる。
断言できるが,少なくともこの国においては黒人とアジア人は思い切り見下されている。
別に法によって差別されているわけではないが,一般の民衆のなかにそういった意識が深く根付いていることを肌で感じる。
白人が偉いと誰が決めたのかは知らないが,自分のアイデンティティーをしっかりと持っていないと,たまに差別の重圧に押しつぶされそうになる。
自分は日本人であり,そのことに誇りに思っていると自信を持って主張できる態度を持ち続けたい。
肌が白かろうが黒かろうが黄色かろうが,1人の人間として本質的に何ら差は無いと考えている。
しかしながら過去の歴史がそうしたのであろうか,皆がそのことを認識しているのであろうが差別意識は未だ根強く残っているのが実情なのだ。
オレはもちろん『被差別者側』である。
きっと「日本以外」ではどこでもそうであろう。
少なくとも今の段階では,(戦争などの異常な状態を除いて)人種差別の存在しない国なんてあるとは思えない。
大きく見たら,白人の世界では黒人やアジア人は蔑まれ,しかしまた黒人の世界では逆のことが起こるであろう。
日本においても日本人以外のアジア人や黒人は差別に苦しんでいる。
結局のところ
どこも同じような問題を抱えていると思う。
しかしながら世代が交代していくにつれ,差別意識は表面上,”薄れつつ”あるのも事実である。
教育,つまり『差別しちゃいけないんだよ』といったような,いわば肯定的な洗脳の産物と言える。
さらにそれを促すように,現在の国際化・情報化社会の中では様々な情報が溢れ,全く異なった文化や世界を比較的容易に知ることが可能になった。
そして人の流動性も以前とは比べ物にならない程になっている。
だからといって,差別意識はなくならないであろう。
過去の歴史を拭い去る事は不可能であるし,肌の色だって全員がまったく同じになることは有り得ない。
むしろあったらコワイ。
異なるアイデンティティーやイデオロギーなども無視できない。
各国の経済力が均等になることだって考えられない。
その前に地球は破滅してしまうだろう。
たまに思うことだが,過去の歴史を学ぶことは全部が全部いいことだらけではない。
知らなくてもいい事もあるのではないか。
何も知らない子供には人種差別意識はない。
教育の過程でどこか歪んだ意識が生まれてしまった結果であるとオレは思う。
まぁそれはそれとして置いておくことにするが,それらは単なる『きっかけ』であって,差別問題の元凶とは結局のところ『自己欲求・自己満足』の世界の問題であるとオレは思っている。
誰でも他人より優位でありたいと思うし、自分よりも劣っている者がいれば何となく安心する。
当然,自分の存在を肯定するために他者を貶めることは間違っているし,そんなことをしなくても日頃の意識の持ち方で自分に自信と誇りを持つことは可能だ。
オレは自分を正当化するために他人を攻撃したりしない。
でもそういうやり方でしか自分の存在価値を見いだせない奴らは確実にいて,まるで自分自信を守るかのように差別をする側に回る。
よく言われるように、全員が理解を深めてお互いに付き合っていけば差別意識はなくなる何てオレは思わない。
逆に「なんだそりゃ」って疑問に思う。
何て安易で曖昧な結論なんだろうか。
結局のところ,差別なんて『常識』なのだ。
どこの国においても。
そういった認識の上で,個々人が自分に自信と誇りを持って生きていくしかないとオレは思う。
スペイン留学 人種差別について思うこと おわりに
今はどうか分かりませんが、当時はけっこう目に見える形で差別ありましたね。
例えば、カフェの店員は注文を取りに来るどころか声をかけても無視される。
レストランでのサービスはいつも後回しにされて一番最後。
手を挙げてもタクシーに素通りされることはしょっちゅう。
あるナイトクラブは中に入れてもくれない。
名前は呼ばれず、いつもChino(アジア人への蔑称)と指さし呼ばれる。
最初の頃は言葉ももちろん上手に話せなかったので、精神的にも厳しかったのを覚えています。
ただ、日本を出なければ考えもしなかったことなので、生きていくうえで非常に勉強になりました。
それが歓迎すべきことでなくとも、ある事柄に対して正面から向き合い、自分なりの考えを巡らせることは精神的な成長に繋がります。
この実体験で得た「差別に対抗するには自分に自信と誇りを持つこと」、「周りに期待するよりも、自分自身の意識を変えていかなければ何も解決しない」という考え方は今でも変わっていません。
別に「日本人であれば日本を愛するべきだ!」と言っている訳ではありませんが、自分自身に対するのと同時に、自分の精神性を育んだ国に対しても自信と誇りを持つ事は別に悪いことではないです。
いずれにせよ、どの国においても差別は起こり得るので、自分を見失わないようにしたいと思ってます。
ブータンとか、もしかしたら差別ないのかもしれませんね。
残念ながら行ったことないですけど。
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それでは、また。
とてもわかります。わたしもスペイン、ドイツと2週間かけて旅した時、とても人種差別にあいました。
公園のベンチに座っていると、子供連れの家族に、チノ!どけ!といわれ、まだ3歳くらいの子供に石を渡して、私に投げつけさせたのです。
スーパーでも、チノは別のレジへいけ!と叫ばれ、
簡単なバーに入ると全員にみられ、笑われ、チノは出ていけ!と言われました。
買い物をしていると、中学生くらいの子たちに、チノチノ出ていけといわれるし、一緒に旅した友人も、精神的に参ってました。
泊まったホテルのレストランでも、アジア人で固められ、話しかけても無視。
こんなにも差別されるんだなあと本当に心が痛みました。ツアーなどではあまり感じないかもしれませんが、自由旅行では、嫌というくらい差別をうけました。
歴史や、建造物、景色など素晴らしいものが沢山あるのに、人間としての心の貧しさにガッカリしました。
最後まで辛く厳しいたびになりました。
友人も二度と行きたくないと言っています。
わたしも、周りの友人達に伝えました。
この記事を読んでとても共感したので、コメントさせて頂きました。
人間としての尊く生きましょうね。
差別したり、いじめたりする人間にはなりたくありませんから。
ひろみさん
こんにちは!コメントどうもありがとうございます。
楽しいはずの自由旅行、嫌な思い出も出来てしまったみたいですね。。
スペインのどのあたりでしょうか。。とても残念です。。
せっかく興味を持って訪れているのに、あっち行けなんて言われたら本当に嫌ですよね!
私も差別したり、いじめたりするような人間にはなりたくありませんし、子供たちもそうあって欲しくありません。
ただ、私は1年ちょっとの滞在で嫌な思いもしましたが、良い人たちとの出会いや楽しい思い出もたくさんありましたよ!
なので、もし今度またスペインを訪れる機会があれば、そういった人懐こい陽気なスペイン人達の良い面にも触れ、楽しい思い出が出来ることを祈ってますね。
また、是非ブログに遊びに来てください!
ユキヒョウ。